素材加工の一環として行われていた「蒸留」を専業で請け負うという新たなビジネスフィールドを開拓したのが、大阪油化工業です。現在も、特に少量かつ高難易度の精密蒸留について高く評価いただいており、他社で断られ続けたプロジェクトを請け負うケースも多いことから「精密蒸留の駆け込み寺」と呼ばれたりもしています。
アルコール飲料の製造、石油に特化した蒸留、リサイクル目的の大量蒸留など、「蒸留」とひと口に言ってもさまざまです。私たち大阪油化工業は、独自設計による多目的蒸留装置群を備えることで、100mlの少量から10000Lまで多品種に対応。小規模の研究開発からスケールアップ、クライアント工場へのプラント導入まで、一貫したサービスを提供することができます。
「計算ソフトの理論上は精製できるはずなのに、実際にやってみるとできない」というケースが多々あります。加熱するタイミング、微量な不純物など、ソフトではすべての要素を考慮できないからです。私たちは、長年の実績と研究開発からくる経験をもとに、さまざまな手法を組み合わせながら「できない」を「できる」に転換していきます。
私たちのモットーは「お客様を感動させること」。ご要望どおりの対応だけでなく、プラスアルファの成果や改善提案をご提供できるよう心がけています。ご提示いただいた条件で目標が達成できないとしたら「じゃあどうすれば実現できるのか?」と議論、また通り一遍の手法で実現できたとしても、さらなる改善をめざしていきます。
「蒸留」とは、混合物を蒸発させることで、沸点の異なる成分を分離させることです。蒸留による水と食塩の分離実験などは、小学校の理科実験でもおなじみではないでしょうか。蒸留の種類には、単蒸留などさまざまな種類がありますが、中でもわずかな沸点の差を利用して純度の高い成分を精製できるのが「精密蒸留」です。
「精密蒸留」の技術は、主に医薬品・農薬・香料・液晶・電子材料等の分野の開発に活用されます。たとえば医薬品では、精密蒸留でしか精製できない成分を用いるケースも少なくありません。また、電子材料においてもわずかな純度の差が効能に大きな影響をおよぼすため、非常にシビアな品質が求められます。もともと蒸留は石油からガソリンを精製するために発達した技術ですが、最近では航空・宇宙産業でも燃料の精製に活用されており、重要性はますます大きなものとなっています。
精密蒸留の品質は、「純度」「回収率」「蒸留時間」の3点から評価することができます。成果物の「純度」をどこまで高められるか、同じ原料からでもより多く「回収」できるか、いかに「蒸留時間」を短縮できるかといったポイントに技術力の差が現れます。また中には、沸点差1℃未満のものや性質が非常に似た光学異性体の分離など、高い技術力がなければ精製不可能な成分もあります。
2000年頃に急速に広まったCD-Rですが、当初は書き込みエラーの発生率が高いことが大きな課題となっていました。そこで私たち大阪油化工業は、CD-R向け色素溶媒や材料の溶剤の蒸留方法を新たにご提案。高純度を実現できたことで、書き込みエラーの発生率を飛躍的に低下させることができました。
設備名 | 説明 |
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蒸留釜 | 蒸留釜に原料を投入し、ボイラー等で加熱することによって気化させます。350℃もの高温になるまで加熱することもあります。 |
真空ヘッダー | 真空ポンプからの圧力を調整し、蒸留塔などを減圧するための装置。 |
蒸留塔 | 蒸留塔は大きく充填塔と棚段塔に分かれますが、大阪油化工業では独自設計の充填塔を採用しています。充填塔のメリットは、塔内に充填物が高密度で組み込まれ、気液との接触面積が大きいため、高い凝縮能力を得ることが可能という点です。精密蒸留では高い凝縮能力を必要とするため、充填塔の利用が主流となっています。 蒸留釜で気化された原料は、この充填物と接触することで液体に戻り、製品に精製されます。充填物は凝縮効率を高めるため、メッシュ状に細かく張り巡らせています。 |
分配器 | 原料から凝縮され、液体となった製品を分配して受器に送る装置。 |
コンデンサー | 気化された原料を冷やし、液体に凝縮するための装置。熱交換器とも呼ばれます。 |
受器 | 分配器から送られる製品を貯蔵するタンク。 |
工程 | 説明 | |
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1 | 原料分析 | 原料をガスクロマトグラフィーやDSC等の分析機器で分析します。 |
2 | 検討 | 蒸留方法の検討。まずは小規模蒸留装置でテストを行います。 |
3 | 蒸留条件設定 | 原料に応じた真空度、加熱温度、加熱時間等を設定します。 |
4 | 仕込み | 原料を蒸留釜に投入します。 |
5 | 工程管理 | 条件設定どおりに装置が稼働するよう管理。蒸留中の原料の純度等を適時分析し、製品規格を満たしているか定期的に確認します。 |
6 | 充填 | 製品を容器に充填していきます。製品出荷前にも分析機器を用いて品質確認を行います。 |